魔王の婚約者

 王太子の執務室。
 広い空間。ソファにテーブルをはさんで、王太子が座っている、向かいになぎさ。
 「すまない。こんなことになって」
 と、王太子。金髪(ブロンド)のさらさらヘア。セミロング。青い瞳をしていた。
 「なんといったらいいのか」
 王太子。
 「なんとかしようとしたが、結局こんな結果になってしまった」
 なぎさはうつむいている。
 「スサノオ様は大変お優しい方だと聞いている」
 「・・・・・・」
 しばし沈黙。
 王太子はうつむいた。
 「魔王陛下との同盟のための政略結婚と思われても仕方あるまい」
 「そんなことは」
 と、なぎさ。
 「いや、いいのだ。魔王陛下と同盟が締結すれば、国は安泰だし、スサノオ様は疫病の神でもあらせられるから、疫病から国民が守られる」
 なぎさは絶望した。それなら、今更、魔王との婚約を回避できない。破滅フラグがたった。魔王にして破壊神スサノオ。その恐ろしさは計り知れない。
 「安心してくれ。魔王陛下とはフィアンセに危害を加えない、生活の保障をする、という契約を締結している。魔王陛下は信義に従い、誠実に義務を履行される方だ」
 それでも不安だった。