「群像」という純文学の雑誌がある。講談社さんだ。そこで群像新人文学賞という賞を募集している。僕は以前、群像新人文学賞に応募したことがある。400字詰原稿用紙250枚以内だったと思う。締め切りは10月31日だったと思う。確か中間発表とかいって、途中、雑誌にノミネートされた人の名前を表記するというのがあったと思う。
 そこに僕の名前はなかった。佳作も入賞もなかった。いわゆるはしにも棒にもかからない、というやつだ。僕の年、当選者はいなかった。その後、大賞受賞作や、大賞受賞者のインタビューなどを「群像」6月号で読んだ気がする。当選者はいなかったから、過去の受賞者だろう。大賞受賞者は大賞を取るまでに、何度も最終選考まで行っていたらしい。何年もかけるのか、と思った。何度も最終選考まで行くのか、と思った。
 また大賞受賞者は、審査員にえらい評論家がいて、その人に認められることを考えていた、という。あとで知ったのだが、一発で応募して受賞することはないらしい。また受賞者の年齢は30くらいだ、と聞いたような気がする。
 昨日今日のやつがとれる賞じゃないというわけだ。そう思った。
 「永井青殉」という小説を書いたのだ。映画やドラマを基にした。従来の文学を踏襲するのではなく、ドラマを基にしてやるんだ、と思っていたんだと思う。文学を馬鹿にしていたのかもしれない。好きな女優さんを出した。(ダンス)クラブを出した。主人公の名は郁夫。美少年だ。その美少年が作家永井青殉と恋愛するといったもの。郁夫は学校でも浮いた存在だった。「不良」とか陰口をたたかれていたと思う。
 原稿はコピーをとることとあったような気がする。
 郵便局に原稿を持って行った。
 とにかく群像新人賞をとるには、何年もかけるのだ。昨日今日取るのは無理なのだ。