ベアトリスことベアトリス=コーベットはここセルベス国の由緒正しき貴族であるコーベット伯爵家のひとり娘だ。今から八年前にセルベス国を襲った災害により両親を亡くし、高齢の祖父母に引き取られてひっそりと暮らしている。
しかし、それでもやっぱり寂しくなる日はある。
そんなときはいつも本を読んで、どこか別の世界へ意識を集中させることで寂しさを紛らわせた。
そしていつの間にか家中の本を読み切ったベアトリスは図書館や貸本屋であらゆる本を読み漁り、その熱を収まることなく独学で外国語の勉強までして異国の本まで読むようになった。そして、この素晴らしい本を他の人にも共有したいと思い立ち、今では偽名を使ってこっそりと翻訳家としても活躍している。
先ほど夢中になっていた原稿は、今ちょうど翻訳途中のものだ。
今日は、王宮で年二回だけ開催されるの王宮舞踏会の日だ。
全ての貴族の家門に招待状が届くが、ベアトリスの祖父母であるコーベット伯爵夫妻はもう高齢でダンスを踊るのは辛いというので、ベアトリスだけが参加することになっている。



