俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

(わたくしの幸せな結婚が──)

 遠ざかってゆく。どんどん遠ざかってゆく。
 一方のアルフレッドは表情を曇らせるベアトリスを見て全く違うことを思ったのか、器用に片眉を上げた。

「安心しろ。お前が綺麗だというのは、本当だ」
「はあ、そうでございますか」

 死んだような目をするベアトリスを見て、アルフレッドはくくっと肩を揺らした。

(うう、なんでこんなことに……)

 物事を引き受けるときはもっと慎重になるべきだ。
 もしも当時の自分に会えるならば、そう忠告してやりたい。

 ベアトリスは虚無な気持ちで遥か遠くを見つめる。

 そう、セルベス国の王太子夫妻には秘密がある。
 彼らは皆、知らないのだ。

 ──誰もが見惚れる理想の王太子であるアルフレッドの寵愛を一身に受ける妃──ベアトリスは、実は契約で雇われたお飾りの王太子妃であるということ──。