ベアトリスは早速離宮を抜け出すことにした。
ドアを開けると目の前にはひとりの衛兵が立っていた。以前、手紙を届けに来たベアトリスを追い返そうとしたあの衛兵だ。
衛兵はすぐにベアトリスに気付き、小さく会釈する。
「お出かけですか? 妃殿下」
「ええ、少し気分転換に散歩でもしてくるわ」
「かしこまりました」
衛兵はベアトリスのでまかせに疑問を持つこともなく、笑顔で見送る。数百メートル離れた場所で、周囲を見回して木陰に身を寄せた。
(えっと、この指輪を……)
ポケットから指輪を取り出し、アルフレッドから貰った指輪を嵌めている隣の指に嵌める。
前回と同じように、ふわっと体から鈍い光が放った。
(ちゃんと変わっているのかしら?)
鏡がないだけに、自分の顔が変わっているのかどうかの判断が付かない。もたもたしていると、少し離れたところから話し声が聞こえてきた。
(誰か来る?)
そちらを振り返ると、見覚えのある女性が歩いてくるところだった。
(あれって、ルーモア先生!?)



