「あのあと、どうなったのですか?」

 ベアトリスは恐る恐る、アルフレッドに尋ねる。

「ビショップ子爵令嬢を尋問したのだが、衛兵に『ベアトリス妃殿下に会いたい』と伝えたら通してくれたと供述しているらしい。衛兵は『記憶が曖昧だ』と言っている。どちらも収監した」
「不思議ですね」

 ベアトリスは眉根を寄せる。

 ベアトリスに会いたいと言って衛兵が通すなど、おかしな話だ。護衛が役目なのに、それでは全く役に立っていない。

「普段は真面目な男らしいのだが……。どちらにせよ、王宮の警備はクビだな」

 アルフレッドはため息をつく。

「ですよね」

 ベアトリスは頷く。

「ビショップ子爵令嬢については、これから処分を決める」
「そうですか」

 ベアトリスは神妙な表情で頷く。
 かつては友人だと思っていた人の暴挙に、心中は複雑だった。