「お兄さん達、早く逃げなきゃこのお兄さんみたいになるよ?」
其処のお姉さん(真奈)は知ってるね、と恋歌は言う。
真奈、結愛は呆然としていた。
「ほらほら、早くはやく。じゃないと…」


喰われるよ


がたり
机が倒れる。
また、遠くの方でうたが聴こえ始める。
恋歌はイライラして返事を催促する。
「ほら、はやく。私が怒られる」
遠くで悲鳴が上がる。
恋歌は微笑んでいる。
だが、目は笑っていない。
「…駿太、逃げよう?」
「光太郎…光太郎…!!」
「駿太!!」
結愛が叫んでも、駿太はぶつぶつと光太郎の名を呼ぶ。なにかに、取り憑かれたかのように。
「…あーあ、遅かったかぁ」
このお兄さん、間もなく喰われるよ
だからお姉さん達はお逃げ?
「駿太…ごめん!結愛、行くよ!!」
「えっ、ちょっ…!!」
結愛の腕を引っ張って、真奈は教室から飛び出した。
其の直後、教室から悲鳴が聴こえ、バキリ、と骨が砕ける音がした。