そして消えゆく君の声

 ――幸記くんが事件から間もなく入院したと教えてくれたのは要さんだった。


 おそらく、もう退院することはない。
 淡々と告げられた事実は、電話越しに聞いた静かな声の印象とぴったり重なった。


 最後に会った日の姿を思い出す。歩きながら何度か休憩を取っていて「最近疲れやすいんだよね、年かな」なんて笑っていた幸記くん。
 

 あの時、なんでもっと話を聞かなかったんだろう。