そして消えゆく君の声

「えっらそうに。あんた、なんか勘違いしてんじゃないの?」

「!」


 悪意でいっぱいの言葉に心臓が跳ね上がる。

 なのに黒崎くんは何も言わない。女の子の口元が蔑むように持ち上がっても。さらに言葉を重ねようと口をひらいても。


「自分のこと特別だとか思ってんなら、それ完全に間違ってるから。何の取り得もない出来損ないのくせに」


 違う。


「周りに何て言われてるのか知らないの?D組の子が言ってたよ、クラスの雰囲気悪くしてるって」


 そんなことない。


「はっきり言うけど、あんたなんか何で存在してんのか分からないゴミだし、いなくてもい――」

「あ、あの、やめてください!」 


 ひどい言葉に耐えきれず、気付いたら私は二人の間に割って入っていた。


「は?」

「…………」


 冷たい視線でこちらを睨む女の子と、ほんの少し目を見開いた黒崎くん。

 緊迫していた空気がますます重たくなって、失敗したって思わなかったわけじゃないけど。

 それでも、今の言葉はあんまりだ。