そして消えゆく君の声

「よし、こんなもんでいいかな」


 共通試験が終わって、学内の三年生が少しずつ減り始める一月の終わり。

 例によって先生に頼まれた美術室の掃除を終えた私は、帰りの準備をしながら窓からの風景を眺めていた。

 夕から宵へと変わる時刻。

 電気をつけ忘れた教室は薄灰のベールをかぶったみたいに暗くて、夕日の差し込む場所だけが、濃いオレンジ色に染まっている。

 今日は部活のない日だから特別教室棟には全然人の気配がなくて、そのせいだろうか、見慣れた教室はどことなく寂しげに見えた。


(あと一ヶ月ちょっとで、卒業式なんだなあ)


 棚に並ぶ三年生の作品を横目で見ながら、ぼんやりと考える。


 二月には大学入試があって、三月には卒業式。学園の「王子様」は、学び舎を飛び立っていく。


 卒業後、征一さんは都内で一人暮らしをすると雪乃に聞いた。大学近くの大きなマンションで暮らすから、二月に入ったら引っ越しの準備を始めるらしい。

 県内からでもギリギリ通えるのにとファンの女の子たちはすごくがっかりしていたけれど、私は内心ホッとしていた。