そして消えゆく君の声

 時はゆるやかに流れていった。


 クリスマスは幸記くんに用事があったからお母さんの手伝いをしながらお父さんという名のサンタを待ったけど、年明けには三人で地元の神社に初詣に行ったし、祈りを込めて引いたおみくじはみんな上々の結果だった。


「桂さん、年内にすごい良縁があるらしいよ」

「えっ、あ、本当。どんなのだろう」

「俺が前に読んだ本では最後に外国の王様と結婚してたよ。やだな、桂さんどこに行っても俺のこと忘れないでね」

「……どんな本読んでるんだよ」


 呆れた顔の黒崎くんに、楽しげに笑う幸記くん。

 襟口から覗く傷はもう見えなくて、ここ最近は春に咲く花の種を選ぶのが日課みたいだった。


 日に日に「外出」が増えているのには気付いていたけれど、私は何も聞かなかった。

 必要な時に教えてくれる。それでいいと思ったから。


「秀二、何か食べて帰ろ」

「お前最近食いすぎだ」

「成長期なんだからそりゃ食べるよ。桂さんも一緒にいくよね?」


 差し出された白い手を、王子様みたいだなと思いながらそっと重ねると、幸記くんは目を丸くして、すぐに嬉しそうに笑った。