そして消えゆく君の声

 やがてゆっくり口を開いて。


「葉が」

「え?」

「葉が、ずいぶん落ちてるね」


 足元を見ると、赤や黄の葉が重なり、混じり合った地面が目に入る。


 冬なんてまだまだ先だと思っていたけれど、気が付けば太陽は駆け足になり、頬をなでる風は冷たくなっていた。


 この色づいた風景も、少しずつ少しずつ散っていくのだろう。


 幸記くんが、地に落ちた葉を拾い上げる。役目を終えたひとひらを指ではさむと、短く目を閉じて。


「冬になって、葉が散って、また芽をつける。きっと、そんな風に変わっていく。今は途中なんだよ、桂さんも秀二も。だから」


 元気を出してと、幸記くんは私のひたいに、自分のひたいをそっと押し当てた。


「……おまじないだよ」