白く照る夏の朝。

 幸記くんが、自分を想いを伝えてくれた日。


「……………」


 黒崎くんは何も言わなかったけど、握りしめられた手も一向に答えを発しない唇も、問いかけが事実だと物語っていた。


 よそよそしかったのは、そのせいなんだろうか。幸記くんの気持ちを知って、私と話すことに後ろめたさを感じるようになったとか。


「……幸記くんのことは大好きだよ。本当に、尊敬してる」


 胸にわいた疑問を振り払って、私は黒崎くんの言葉を続けた。

 何にせよ、一度出した言葉を引っこめることはできない。


「でも、幸記くんの気持ちは受け取れない。好きだけど、それは、その、恋じゃないの。私がそういう意味で好きなのは黒崎くんだから。黒崎秀二くんが、誰よりも好きだから」


 目の前の拳が震える。


 雨で気温が下がったせいだろうか。無言のまま細く吐き出される息はほんの少し白色を帯びていて、まるで煙のようだった。


 黒崎くんが胸に抱えた爆弾。

 その導火線が少しずつ燃え進んでいるような、やがて起爆薬にたどりついて、感情を爆発させるかのような。


 けれど、その爆弾が引火することはなかった。


 代わりに。