そして消えゆく君の声

「三人で出かけて、やっと黒崎くんに近づけたと思ったのに。私が何かしたんだったら謝ることだってできるけど、黒崎くん何も言ってくれないんだもん。わかんないよ」

「避けてないって言ってんだろ、しゃべる理由がなかっただけだ」

「理由ならあるよ、黒崎くんを知りたいっていう理由が」


 一息に言い切って、数秒遅れで熱くなる頬。


 ひょっとして、私はとても恥ずかしいことを言っているのかもしれない。だって、この言い方じゃ完全に。


 でも

 今言わないと。
 伝えないと。


「黒崎くんのこともっと知りたいし、たくさん話したい。家のことだけじゃなくて、趣味の話とか何が好きかとか。初めて話した時からそう思ってた」 

「そういうのは、幸記に言ってやればいい」

「もちろん幸記くんは大切な友達だよ、でも、今話しているのは黒崎くんのことだから、黒崎くんに聞いてほしいの」


 話せば話すほど、黒崎くんの表情がこわばっていくのがわかる。丸みのない頬が硬化しているのは、きっと、寒いからじゃない。


「……聞く話もしゃべる話もない、人の領域に入ろうとするな」

「もちろん、無理に入ろうなんて思わないよ、でも」

「大体、なんで一々気にかけるんだよ。無視しとけばいいだろ、俺なんて」

「無視なんてできないよ、だって」