そして消えゆく君の声

 今、この瞬間
 幸記くんはどうしているんだろう。

 泣いていないだろうか。
 苦しんでないだろうか。


 夏空の下で輝いていた笑顔を思い出しながら、そんなことを考えると。


「幸記が」


 黒崎くんがぽつりと呟いた。
 雨音にかき消されそうな、小さい声で。


「幸記が、気になる?」

「え……?」


 黒崎くんの言いたいことがわからなくて、つい疑問まじりの語調になる。

 気になるかって
 だって、そんなの。


「当たり前だよ、友達なんだから」


 幸記くんは大切な友達だから、元気でいるかと心配するのも、笑顔でいてほしいと願うのも当然のこと。

 そう言うと黒い瞳が何か言いたげに上下して、数秒の沈黙の後「わかった」と曖昧な言葉が返ってきた。


 そして、また黙り込む私たち。


 失われた言葉と反比例するように雨音はどんどん大きくなって、叩きつけるような雨脚が風をはらんで身体を濡らした。