そして消えゆく君の声

(〇×※△□ー!?)


 何。 

 何。

 何が起こったの。


 おどろきのあまり声も出ない私を抱えて、黒崎くんは迷いなく夜道を進んでいく。

 突然高くなった視界と浮遊感に、頭がくらくらした。


「あああ歩ける、歩けるよっ」 


 手足をばたつかせて叫びに近い声を上げても歩みが止まることはない。それどころか膝を支える手に力が込められて、ますます黒崎くんと密着するかたちになった。

 汗をかいたTシャツ越しに伝わる体温に、血圧が急上昇する。


「そんな足で歩けるわけないだろ。泣きそうな顔してるくせに」

「へ、へいき、本当大丈夫だから、下ろして、ね、ね?」

「うるさい。さっさと行くぞ」


 どこに、という言葉を目で制して脇道からさらに外れた小道へ入っていく。

 腕も足も細長いのに力が強いんだな、さすが男の子……なんてこと考えている場合じゃない!