そして消えゆく君の声

 やめて。


 心の中で、誰かが叫んでいる。
 もうやめてと。


 そう。

 私は助けたかった。
 力になりたかった。
 笑ってほしかった。


 大切な人だから、前進したくてここに来た。なのに、突きつけられのは自分では無理という言葉。

 否定したいのに、要さんの言葉は、表情は、認めたくないほどの説得力を伴っていて。
 

「一度考えたほうがいいんじゃないかな、これからどうするか。本気で秀二をどうにかしたいと思っているのなら、一番の壁はあいつ自身だ」


 で、なにか質問は?


 それまでの言葉が嘘みたいな、まるで気さくな先生のような口ぶり。でも、混乱しきった私には何も言えなくて。

 ぐちゃぐちゃになった頭のまま、ぽつりと一言だけ呟いた。


「……要さんは」

「ん?」

「征一さんのこと、どう思っているんですか」
 

 それは、昨日からずっと聞こうと思っていたことだった。

 征一さん。

 花を手折るのも躊躇いそうな優しい笑顔で、黒崎くんや幸記くんを苦しめている張本人。
 まるで正反対な顔を持つ「その人」のことを要さんがどう思っているのか。


 慕っているのか、疎ましいのか、その両方か。


 教えてほしかった。突き放した口調とは裏腹に、黒崎くんのことをとてもよく理解しているこの人に。