「名前、年齢、ケータイの電話番号教えて」

「嫌だ」

「お前、嫌しか言わないな」

「山田花子、18歳、ケータイは持ってない」

「じゃあ今日、入院!」
橘はいつのまにか持ってたPHSでどこかに電話をかけ始めた

『橘です。ごめんね、こんな時間に。
今、ベッドあいてたっけ?』

やばい、このままだと入院させられる。
今しかない!
部屋を出ようと立った途端

ばしっ
腕を掴まれた

「座れ」

誰もが怒ってるのがわかるトーン
「...」

「座れって言ってるのが聞こえない?」

私は何も言えずに立ちすくむしかなかった。
橘先生が怒ってるのも怖いし入院も嫌だし
どうすればいいかわからなかった。

名前や年齢。
ましてや電話番号なんか教えると色々と
しつこくてめんどくさそうだし。

身体はなんだかフラフラになってきて
抵抗する体力もあまり残ってない。
ゆっくり寝たい。
早く家に帰りたい。