家の方向に早歩きで歩いていると後ろから誰かついてくる。
さっきの人だ。

「待って。」
私を呼び止めた

「着いてこないでください、大丈夫なんで。すみません。」

「大丈夫じゃないよ、病院行ったほうがいい」

「行かない」

「顔色が悪すぎる」

「行かない」

「じゃ救急車呼ぶ」


携帯を手に取って電話をかけ始めた。

救急車?ダメ

私は携帯を奪い取ろうと腕を掴んだ。

「呼ばないで」

「自分の意思で病院行かないんだろ、呼ぶしかない、誰が見ても体調悪いのがわかる。救急車で病院に運んでもらえ、」

少し怒っている

なんであんたなんかにそんなこと言われないといけないの

救急車で病院に行くと大勢の医者や看護師に囲まれて治療される。
病院行ってないこともきっとバレる
入院なんて言われた時にはもうこの世の終わり

そんなことが頭をよぎった瞬間、
無意識に口にしていた。
「わかった、行くから...」

医師の表情が少し柔らかくなった

「そこのコンビニに車止めてるし連れてってやる、こっから10分くらいで着く。拾いにくるから待ってて。」

その間にどうにか逃げよう。

「逃げるなよ、ここから動くな」

私の目を見て少し目を細めた。

私の考えてること、全てわかってるようだった