4月の夜
仕事帰り、駅から家まで歩いているとき、
息切れが続いて苦しくなった。

大きい通りの歩道にある花壇に少し腰をかけて呼吸を整える。

「大丈夫ですか?」

背が高くすらっとした男性が声をかけてくれた。マスク越しでもイケメンなのがわかるくらい目鼻立ちが綺麗。

「大丈夫です。ありがとうございます。」

私は呼吸を整えて男性に返事をした。

「顔色悪いですよ?少し触りますね」

私の腕をもち脈を測り始めた。

「えっ」

私は咄嗟に振り払った。

すると男性は驚いた顔で

「俺、医者だから安心して、変なことしない。顔色悪いし呼吸もしにくそうだったから少し脈測りたかっただけ。」

医者?ありえない、とりあえずこの場から逃げないと

医者と聞いて身体の震えが止まらない。

「本当に大丈夫なので。ありがとうございました。」

身体の震えを必死に隠しお礼を言って颯爽にその場を離れた。

危ない。医者に見えなかった