「帰って」

そう言い放って
海斗の顔を見上げると
明らかに怒ってるのがわかった

「まだ強がんの?
メンタルも身体も弱いすずがそんな強がって何がしたいの。呼んだのはすず、逃げんな。」

わかってる
わかってるんだけど。

「いま思ってること考えてること全部話せ。俺は怒ってる。約束を守ってないすずに。約束を破った理由、俺が納得できるまで説明しろ」

「...」

久しぶりに本当に怒ってるトーン

「病院から逃げたのは仕方ないしすずは悪くない。俺の判断ミスだった。オペ中で緊急事態に行けなかったのも悪かった。ごめん。

ただそれから家にもいない連絡もつかない、俺のいないところでぶっ倒れる。挙げ句の果て、大丈夫と嘘をついて俺からまた逃げようとする。何考えてんの?」

「...」

「いい加減にしてくれ。
どんだけ心配かけたらすむ。」

「私が海斗の前から完全にいなくなれば、心配せずに済むでしょ」

「じゃあなんで呼びつけた」

「呼んだ記憶ないからわからない。」

「もういい。約束を破ったすずちゃん。
呼んだんだから俺の質問に全て答えろ。
それができない限りは俺の病院に戻さない」

「...」

「背中の痛みはある?」

「...」

「はぁ...
すみません...腎生検ここでしたいんですけどいいですか?」

「やだ。やらない。」

「背中の痛みはあるのかって聞いてる
答えなら検査をして調べるしかない」

「いやだ。...少しだけ」

腎生検という単語が嫌で
質問に答えた。

「呼吸しにくいとかない?」

「今は大丈夫。」

それから色々身体のことを聞かれた。
医者の海斗との会話。