親は二人とも海外に居る。

仕事が忙しくてあまり帰って来れない。

けどあたしには弟たちが居るから寂しくなんてない。

弟たちもそう思ってくれていたらいいなぁ。


「おはよ」

「あ、準ちゃんおはよ」


準ちゃんはマンションの部屋のお隣さん。

音大の一年生。


「高二だっけ?」

「そうだよ!準ちゃんは音大生だね」

「この前まで一緒に高校通ってたのになぁ」

「ほんとだね」


今はマンションのロビーを出たら逆方向。


「今年こそは大きくなれよ(笑)」


そう言って準ちゃんはあたしの頭を撫でた。


「あ、準ちゃんセクハラ~。もうレディーなんだからね、あたし(笑)」

「はいはい(笑)じゃあな」

「うん、またね」


そう言ってあたし達は別々の方向へと歩き出した。