冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「ごめん、セシリー……僕は独りよがりで最低な人間だった。君の気持ちも考えず自分の欲望を、押しつけて……拒絶されたのに諦め切れず、団長を手に掛けようとした。そのせいでリルルまで傷つけたけど……またあいつが命を救ってくれて、色々教えられたよ。本当はこうして君の前に立つ資格も無いけど……謝らせてくれ! あの時からずっと……ごめん!」

 ラケルは深く頭を下げた。
 それに対し、セシリーは首を左右に振る。

「……ううん。ちゃんと向き合ってあげられなかった私こそ、弱かったんだ。大切な友達だったから……本当の気持ちを伝えて、嫌われるのが怖かった。ごめんねラケル……あなたの言った通りだった。私、リュアン様が一番好きなんだ」
「ガレイタムの王都で話す君たちを見た時から……いや、本当はもっと前からわかってた。でも……くそっ、本当に悔しいっ! ……それでも、リルルが身を挺して失う悲しみを教えてくれたから、もう終わりに、しなくちゃね……。あの場所は、僕にとっても大切だから」
「ごめんなさい……。リルルにも私が感謝してたって言っておいて」
「うん……?」