そんな彼に、同僚は困惑の表情で答えた。

「とは言っても、いきなりあんな事を国王様の口から言われて……何ができるってんだ。俺たちゃただの人間だぞ? 魔法騎士の奴らみたいに、魔物だってひとりじゃ倒せやしない。こうして、言われたことをしっかりこなすしかないだろう」
「それは、そうだろうが……。……おっ、どうした。お猫様、聖女様に何かあったか?」

 サニアはするっと騎士たちの足元にすり寄ると、フレアの方に顔を向ける。それを跪いて撫でてやりながら、同僚は言った。

「わかってるよお猫様。嘘ごとであんなに真剣に祈れるやつがいるもんか……」
「そうだな……せめて俺たちも自分の役割だけは誇りをもって果たすよ。その前にどうせだ。俺たちも祈ろう」
「何を祈るんだ? 何に祈ればいい?」
「それは人それぞれだろう」

 正騎士たちは跪くと両手を握り、それぞれの信じるものへ祈りを捧げる。