冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 それでもリュアンは掲げた両手を下ろさなかった。今もセシリーはきっと、暗い闇の奥で……リュアンの助けを待っている。誓ったのだ……ずっと彼女の傍にいて守ると。皆で、本拠地へ……魔法騎士団に戻って来ると……。

 彼の意志に反応したように胸元で光り輝いたのは、セシリーから預かっていたあの月長石の髪留めだ。強い光を放つと共にそれが、リュアンの身体を温かな光で覆う。

 舞踏会の後エイラと相対した時に感じた、セシリーとの絆。お互いが心を委ね合うことにより、リュアンはあの時守り役と認められ、わずかであるが月の女神の眷属たちの力を借りることが可能となっていた。

(――間に合った!)

 それを知らせたのはリュアンの頭の中に響いた少年めいた涼やかな声。もう一方の戦場の方で大きくざわめきが起こる。

「あ、新手か!? なんだあの白い狼たちは!」