するとその手を彼も、下から握り返してくれる。

「……オーギュストさんだったら、きっとお前を連れてこのままどこかへ逃げただろうな。俺もそうしたい……。お前を危険な目に遭わせることがわかってるのに……。でも俺だけが、お前を守ってやれると思うと、凄く今嬉しいんだ」

 リュアン自分のマントを外すと、それで包んだセシリーの身体を自分の膝の上に倒させて、目を閉じさせた。

「しばらく休んでろ……いや、俺の傍で休んでくれ。少しでもお前を身近に感じていたい」
「はい……」
 
 温かい体温とリュアンの香りに包まれながら、セシリーはしばらく幸福せそうに微睡んだ。