「あなた方に女神様たちの御加護があらんことを……!」
「行ってくる!」「頑張ります!」

 最後に彼は敬礼をしてくれた。それに同じように返すと、リュアンとセシリーは心残りを持たず、王都からリズバーン砂丘へと向かう馬車に乗り込むことができたのだった――。

 

 多くの人との別れを経て、セシリーは今は遠くにあるファーリスデル王国を想う。

 あの国には、皆がいる。何よりも大切な……守るべきかけがえのない人たちが。

 セシリーはリュアンが膝の上に戻した手をそっと握った。

「リュアン様……私、初めて自分が、自分でよかったって思いました。多くの人に出会えて……あなたが隣に居られて、その人たちのためにできることがあるから」