冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「それでいいのです。私は……このエイラの奥底から、片割れを奪ったオーギュスト様の元で、全てを忘れて幸せな生活を送るあなたを監視し、いつか絶望に落とし込んであげようと見ていた。私はあなたを憎み、あなたが私を憎む……それが本来の正しい形だったのだから」

 魔女とひとつになってしまったエイラはどこかそれを安堵したような眼差しで見つめた後、動けない四人を放って、半ばまで割れた太陽の石に精神を集中し始めた。小さな罅が全体にまで走り始め、全体が砕けるまでもういくばくもない。

「セシリー! 騙されるな……!」
「嫌……もうなにも聞きたくない、見たくない!」

 そんな中、リュアンはふたりを包み込もうとする闇の腕に抗いながら、目も耳も塞いで全てを拒もうとするセシリーに向けて必死に声を絞り出した。

「たとえ彼女がああ言おうと……何らかの目的があったとしてもだ! 何年も何年も長い間、彼女はお前のことを育て、励まし、見守っていてくれたんだろ……それがお前の中にある真実じゃないのか!」