冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 そういえば、ジェラルドや月の女神に聞いた覚えがある。初代聖女に製法を伝授され、リズバーンの封印を維持するために作られたのがこの時計塔であると。そして、そこには……。

「も、もしかして封印を支えている太陽の石が!?」
「ご名答! 先程の音は多分、女神さまが……それが壊されるのを警告してくれたんだと思いますわ!」

 長い階段をそれぞれが移動用の魔法を使って全力で駆け上がっているのに、中々上にはたどり着けず、動かす足がもどかしい。

 ――ビキキッ!

 先程よりも大きな音。焦燥が背中を貫いた時、ようやく一行の前に鉄扉が姿を現すが、それは中心が酸で溶解したように食い破られて、既に何者かが侵入したことを知らせている。

(一体誰が……)
「皆、魔力で体を守っておいた方がいい。もしかしたら城でイーデル公爵を演じていたのと同じ奴かもしれない」