冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 さすがにこれは予想外のサプライズである。塞がらない開いた口をぱくぱくさせているふたりをおかしそうに見ながら、フレア嬢が手振りで舞踏会場の方に招く。
 
「ほう、彼があの有名な……中々風格がある男だな」
「浮世離れした雰囲気が素敵じゃない……」
「令嬢の方も、中々美しいじゃないか。線は細いが若々しく明るい表情で冷静そうな彼と似合っている」
「ふうん、クライスベル商会ねえ……私たちのお眼鏡に適うものが置いてあるか見物だけど、今度顔を出して見てあげてもいいかもしれないわね」

(これは……断るのは無理そうだな)(ええ……)

 宣伝にはなっているが、それ以上にふたりの動揺は凄まじい。

 万雷の拍手に追い詰められ、それに押し出されるようにセシリーたちは、ライトアップされた舞踏会場に足を踏み入れる。中央にいる王太子たちを無言で睨みつけるが、彼らは軽くウインクし手を挙げると演奏の開始を合図してしまった。