冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

(リュアン様、笑顔止めたほうがいいです。恋人たち、特に女性にとって刺激が強すぎます……後で絶対恨まれますよ)
(いやいや……魔法騎士団の後ろ盾を頼みに行ってるのに、そういうわけにもいかんだろ。悪印象を与えるわけにはいかんのだ……)
(そこをうまくやるのが団長の務めでしょう!? あれ見て下さいよ!)

 セシリーは控えめにいくつかのテーブルを指さす。彼と会話した後、連れられていた女性の方がリュアンに釘付けになって放心したせいで、仲が険悪になる男女の姿があちこちに散見される。セシリーは隣で見ていて本当に胃が痛んだ。

(下手したら出禁にされるかも知れませんよ? これだと……。王宮時代にこういう対応とか学ばなかったんですか?)
(だから本ばっかり読んでたし、髪を伸ばして顔を隠していたからさぁ……。くそっ、キースはどうやってたんだ……)

 目立たないよう壁際でこそこそと話していたふたりなのだが、そうしている今も……いくつかの視線が貫くようにこちらを照射しているのは勘違いではないのだろう。いたたまれない気持ちでセシリーが肩をすくめていた時、室内の照明の光度が大きく落ちた。