冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 受付の記帳台で名前を記入し王国からの招待状を見せた後、建物の中に入る際にリュアンは肘を付き出す。

「ほら、掴め。格好がつかないだろ」
「そ、それじゃ……失礼します」

 おずおずとセシリーはリュアンの顔を見上げながら、その腕に寄りかかる。見れば彼の方も頬を赤くして、こちらを引っ張る歩き方もどこかぎこちなく、探り探りで歩幅を調整しているような感じだ。

「速かったら言えよ、合わせるから」
「……大丈夫ですよ、遠慮なく言いますから」

 そんなぶっきらぼうな言葉に、慣れていない同士でちょうどいいかと、セシリーは内心でくすっと笑った。お気をつけてと控え室の方に消えて行ったエイラを見送り、セシリーたちはしばしその場で待たされる……。

 以前は備え付けの螺旋階段ですぐ上の大広間に移動し、催しを行っていたらしいが、今は。建物の中央取り付けられた、魔力で稼働する昇降台のおかげで眺めのいい展望広間を使って舞踏会を開催することができるようになったのだとか。