「「ありがとうございます……!」」

 温かい言葉をくれたオーギュストと、リュアンは快く握手を交わす。ひとりの侍女がオーギュストになにか耳打ちしたのはそんな時だった。彼は膝を叩くと相好を崩す。

「――おっと、丁度娘が帰ってきたようです! ご同輩のお若い赤髪の騎士殿に送っていただいたらしい」
「ラケルかな?」
「でしょうねぇ」

 団内で赤髪の若手騎士といえばラケルのみだ。ふたりはそれを聞き……「どうして彼が?」と顔を見合わせたのだった。