冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「この件、私も持てる力を最大限に使ってせめて長期戦には引き込む考えだ。父上には二日後に彼とこの件で面談を行うと聞いている。その際にはあなたたちにも是非同席し、公爵の暴挙を止めるべく力を尽くして貰いたい」
「もちろんです。私たちも是非、魔法騎士団をを失くさないため、彼らの悪事を暴く証拠をひとつでも多く見つけ、対談に備えておきます」

 リュアンは普段とは違い、ややかしこまった口調で王太子に同調すると、固く握手を交わす。場の緊迫感が和らぎ、これで話は終わりかと思ったが……そこでフレアがひとつ大きく手を鳴らした。

「では、次はわたくしの番ですわね。現在、来るべき大災厄の復活に備え……ファーリスデル、ガレイタム両国間で協議が続けられ、リズバーン砂丘周辺に少しずつ兵員が集められています。セシリー、あなたも封印の儀式に必要な魔力が大量に不足していることは御存じですわね?」
「ええ。月の女神さまから聞いています」

 セシリーは月精の森での不思議な邂逅を思い出す。会話だけははっきりと覚えているのだが、あの時自分がどのような状態にあったのかはどうにも感覚として残っていない。