「お気の毒ですが、事が大きくなり過ぎてしまいました。おそらく近日中に我々も関係者として召集され、国王の裁可を仰ぐことになるでしょう。それに立ち会う心づもりをお願いします」
「はい……」
「せめて、気持ちが落ち着くハーブティーでも淹れましょう。リュアンに送らせますから、少し座って待っていてください」

 気を遣ってくれたキースが給湯室に消え、しばしセシリーはソファに体を深く預けた。

 心が休まる暇も無い。幸い、衣装に関しては、ジェラルドやレミュールが向こうの離宮でセシリーが来ていた服をそのままプレゼントしてくれたので、どうにかはなる……。とはいえどこかで粗相でもしたらと気が気では無いし、騒動が無事に終わったとしても舞踏会や大災厄の復活に向けての段取りなどしばらくは多忙な日々が続く。

(でもその方がいいのかも……今は)

 それでも、少しだけ考えたくないことから離れられるのが今のセシリーにはありがたい。この出来事が終わったら、ちゃんとラケルに向かい合おう……。そう決意しながら、セシリーはリュアンが戻ってくるまで、しばらく目元を手で覆って休んでいた……。