セシリーは愕然とする。よもや、あの時のツケがこんな形で回って来るなんて。

 マイルズは確かに、ただでは済まさないと言っていた。……でも、粘着質な彼のことは置いておいても、その父親の立派な公爵様までがそんな底の浅い考えに同調し、魔法騎士団の解体まで目論んでいるなんて……。

 セシリーは婚約当初イーデル公爵に会ったことはあるが、その時はマイルズとは全く違う懐の深そうな大人物に見え、こんな非道な行いを許すとは信じられなかった。

「……リュアン様は、このことを知っているんですか?」
「ええ。今は任務でいませんが、帰って来たらレオリン王太子に直接今回の件を相談するつもりでいますので、セシリーさんも出来れば御同行願えますか? 一度こちらの国の聖女であるフレア様ともお話していただく必要がありますし」
「う……。わ、わかりました。頑張ります」

 王城……ここでもまたあの重圧に晒されるのかと思うと、セシリーの気は重い。
 しかし、クライスベル家の未来と魔法騎士団のためには、避けては通れない道だ。