そう言いながらも、セシリーの胸には強い動揺があった。目の前の彼が今こんなことをするのが信じられなかったというのもあるが……リュアンが自分などを想っているというその言葉が、セシリーの胸を強く打った。
少しだけ彼の手が緩み、瞳が潤む。
「セシリーは僕のことが嫌い?」
「……違う、よ。ラケルは、大切な友達で」
「ありがと……。でもね、それじゃ僕は嫌なんだ。君の特別な人に……なりたいんだ。一体、どうすればいいの……。教えて……?」
「そんなの……」
ゆっくり、ラケルの顔が近づいてきて……混乱したセシリーは後ろ頭を壁に付けたまま、顔を背けようとした……。でもそれも、もう片方の手で止められてしまう。
赤い前髪が鼻先を掠めるが、爽やかな整髪料の香りを意識する余裕もなく……。こんな時にも浮かんだのはやはりリュアンの顔で……なぜかとても、心が痛んだ。
少しだけ彼の手が緩み、瞳が潤む。
「セシリーは僕のことが嫌い?」
「……違う、よ。ラケルは、大切な友達で」
「ありがと……。でもね、それじゃ僕は嫌なんだ。君の特別な人に……なりたいんだ。一体、どうすればいいの……。教えて……?」
「そんなの……」
ゆっくり、ラケルの顔が近づいてきて……混乱したセシリーは後ろ頭を壁に付けたまま、顔を背けようとした……。でもそれも、もう片方の手で止められてしまう。
赤い前髪が鼻先を掠めるが、爽やかな整髪料の香りを意識する余裕もなく……。こんな時にも浮かんだのはやはりリュアンの顔で……なぜかとても、心が痛んだ。



