リルルの、目を閉じながら探るように動かしていた顔がある一方向でぴたりと止まり……彼は目を見開くと、ひと吠えする。

(見つけた……いくつか反応はあるけど、手紙に残ってた微かな魔力と合わせても間違いない、こっちだ!)
「ち、ちょっと待って! キースさん!」
「ええ、『疾風よ、北風を妨げ、旅人の道行きを祝福せん』。さ、行きましょう」

 キースがふたりに足が速くなる魔法を掛けてくれて、これでなんとかリルルに追いつけそうだ。

「ティチ、私たちの手でお爺さんを助けよう!」
「うん!」
「お嬢さん方、無理はしないようお願いしますよ!」
「「はい!」」
 
 元気良くキースの言葉に答え、ふたりは手を繋ぐと、目の前で跳ねる白毛皮の背中を追って町中へと繰り出した。