冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「いつも通りでいいさ。俺はもう、ファーリスデルの人間として生きることを決めたから」
「それじゃ、リュアン様で……」
「ああ」

 リュアンはなんとなく口ごもるセシリーの元に進み出ると、不思議そうなに顔を覗き込む。

「瞳の色が、変わったんだな」
「はい……ラナさんの置き土産です」
「そうか……」

 複雑そうな溜息を付くリュアンの肩を、後ろからジェラルドが叩いた。

「他の女のことで沈んだ顔を見せていると、愛想を尽かされても知らんぞ。レイ……いや、リュアン」
「ジェラルド様……」

 彼は少しだけ悲しそうな瞳でセシリーを見た後、心残りを断ち切るように快活に笑って見せた。