「ありがとう、感謝の言葉も無いわ。あなたのおかげで……ジェラルド様と私たちは、ちゃんとあの子にお別れを言うことができた。再び、ちゃんと自分の人生を踏み出すことができる」
「あたしも……です。ずっと逃げ続けて、守られ続けてきたから……今度はあたしも、誰かを守れるようになりたい、いつか」

 ふたりの表情からは、まだ悲しみは拭えないが、はっきりと望む方向に進もうとする意思が感じられる。セシリーは自分も頑張らなくてはと、しっかりと頷く。

「はい! 私もラナさんに分けてもらったものを無駄にしないためにも頑張ります。あっ、そういえばあの後どうなったんですか?」
「その事なんだけど、あなた結構長い間眠っていたのよ。二日ぐらい」
「ええっ、またですか!?」

 驚愕するセシリーに、レミュールは苦笑すると説明した。
 あの後深い眠りについたセシリーをベッドに休め、ジェラルドたちは今後の対応を話し合ったらしい。一週間後に控えたパレードは延期し、そして……セシリーの代役として彼女がジェラルドの隣に立つことが決まったという。