冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 ジェラルドがラナの前に進み出て、彼女と向き合い、複雑そうな表情を浮かべたリュアンの肩を叩く。

「安心して行くといい。こいつとはもう争わない……ふたりも、オレが責任をもって幸せにする。お前のことは……死ぬまでずっと忘れない」
「俺もだ。すぐには変われないけど……きっと」

 レミュールも泣きじゃくるマーシャの肩を抱いてその隣へと歩いてきた。

「あの時のままなのだとしたら、年下相手なのに恥ずかしいじゃない。しっかりしなさいマーシャ。ラナ、ありがとうね……私たち、もっと強くなるから。ちゃんと次の世代の人たちに、この世界を正しく引き継いでもらえるように」
「……あたしもっ、一生懸命ラナのこと、思い出して頑張るからっ……」
「うん。お願いね……」

 立ち昇る光がどんどん薄く、弱くなってゆく中、ラナは厳かな口調に切り替えジェラルドに忠告する。

「ゼル様……私には女神様のお話を直接伺う機会はなかったけど、思った以上に時間が無いようなの。この子の中に居て、迷いと焦りが強く伝わって来たから。これが終わったら一度ファーリスデルにこの子たちを返してあげて。多分、向こう側の太陽の聖女と、とても大事な話をしなければならない」