冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「言っておくけど私、ゼル様との間に色っぽいことなんて何もなかったんだから……! せっかくそんなに綺麗になったんだし……あなたたちの花嫁姿、いつか披露しなさい! ……親友だったんだからさ、それくらい約束してよ」
「強引ね……あなたがそういうなら、努力するわ」
「楽しみにしてる! それと、マーシャ!」
「う、うん……」
「今日で苦しむのは全部終わりね! って言っても、あなたのことだから、きっと私が消えた後も思い悩むかもしれない。……でも、絶対に自分から消えたり周りを悲しませるようなことはしないで……。辛くなったらゼル様やレミュールに相談して、絶対にひとりにならないこと。約束できる?」
「……どうして、そんな風に笑っていられるの! もっと責めてよ……!」
「だって……大好きな友達だもん。幸せでいて欲しいだけなの。だから、お願い」

 ラナはふたりを手招きして手を広げ、三人はお互いを固く抱きしめ合った。レミュールとマーシャがたっぷりと涙を流す中、ラナだけが満面の笑顔でそれを満足そうにみやり、最後に……。

「レイ……」
「ラナ……」

 リュアンの前で、ラナは静かにたたずむ。後ろに手を回し首を傾けたそんな仕草に、彼は懐かしむように目を細めた。