冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「馬鹿野郎! そんな事をして責任をとったつもりになるなよ! 自分だけが悪者になって、それで誰かに傷を残して……ただの逃げだろ、そんなの! それで誰が幸せになるんだよ!」

 リュアンの言葉を聞いて一度振り返り、穏やかな笑み浮かべた後、ジェラルドは身を翻そうとする。しかしそれをラナは好きにはさせなかった。

「そこのふたり、止めて!」
「えっ……はいっ!?」「ふむ、仕方あるまい……」

 勝負を見守っていたラケルとオーギュストがラナの声に反応し、両側からジェラルドを拘束する。戦いの疲労で抵抗できず、彼は膝を落とした。

「ぐっ、離さぬか! ……どういうつもりだ貴様ら」
「成り行きですけど……団長に王様なんかになって貰っても困りますしね」
「様子がおかしいですが、娘の頼みとあらば断われませんのでな」

 肩をがっちりと押さえこまれ、地面に跪くジェラルドをラナはゆっくりと睥睨し、冷たい視線でたじろがせる。