冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 リュアンはそれを聞き、思うところがあったように拳を握り締めた。

「否定はしない。だが、オレに奴を疎んじる気持ちがあったのは確かだ。この中で恨まれるべきなのはオレなのだよ。だからオレは……本来お前とこうして言葉を交わす資格すらないのだ」

 ジェラルドはラナを見つめた後、立ち上がると背を向けた。

「お前が裁かないというなら、オレはここを去る。レイアムよ……俺は王太子の位を返上し、この国から消えよう。父上にはセシリーを連れ帰ったのはお前であり、約束通り追放処分を取り消し、次の王に立てるように話を通しておく。ここはお前が自由に使え」
「なんだと……! ふざけ……るなっ」

 身体の傷が痛むのか、覚束ない足取りでにじり寄るリュアンに対し、きまりが悪そうにジェラルドは口元を歪めて背を向ける。

「お前がまさか、オレとやりあえるほど強くなるとはな。今のお前ならば……セシリーと共に災厄を封じ、この国に平和をもたらすことが必ずできるはずだ。この国を……頼む」