冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 ジェラルドは腰に佩いた短剣を抜くと、ラナに柄ごと差し出す。

「裁くなら、オレにしてくれ。幸い……そこの出来損ないも戻ってきた。オレでなくとも……この国は守っていけるだろう」
「……いい加減なことを言うなよ!」

 リュアンが剣を杖にして立ち上がる。

「あんたが……! 小さい頃からすべてを犠牲にして王族の義務を務めあげようとして来たあんたが、今さらそれを捨てようってのか! 駄目だ、ラナ!」

 ラナは静かにジェラルド見下ろし、沈黙が支配する……。そこへレミュールが、ゆっくりと歩み寄っていった。

「ラナ……なのね?」
「レミュール……本当に、別人みたいだわ。お澄ましが似合う、とびきりの美人になったんだね」
「……あなたが大きくなっていたら、きっとマーシャとわたくしと、三人で仲良く……。いいえ、あなたとは多分、もっと喧嘩してたわね。でもそれもきっと楽しい思い出になったわ」