「なにやら魔法騎士団などということだが、純粋な剣術勝負で構わぬのか? かつての貴様を思えば勝ち目があるのか疑問だが」
「構いません」

 ジェラルドとリュアンは両方とも同時に片腕に腕輪を嵌め、用意されたまったく同じ型の刃引きした長剣を手に向かい合う。

 ジェラルドの方が頭半分ほど高く、やや大柄ではある。体格面を考えれば、まともに当たればリュアンの勝利は望み薄に思えるが、彼とて魔法騎士団で長年魔物相手に剣を振るって来た猛者だ。セシリーにはどちらに分があるのか全く予想がつかない。

「大丈夫だよ、セシリー。団長は魔法を制限されていたって僕らの中で一番の腕利きなんだ。あんな地位を笠に着た人なんかに負けたりしない!」
「ラケル……」
「いや、それはどうかな。ジェラルド様も、ガレイタム国内では王太子という身分だけにとどまらず、勇士としてその名を轟かせている。隣国の君でも名前くらいは聞いた事があるのではないかな?」
「そ、それはそうですけど……。オーギュストさんはどっちの味方なんですか!」