冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「……はい」

 しかしそれでも、セシリーははっきりと心から頷くことができない。足を引っ張るこの感情を紐解くためには、圧倒的に時間も経験も何もかもが不足していて……。

「さ、戻りましょう……。今日は今日で大事な用事があるんだから……あなたもお父様と久しぶりに会えるのは楽しみでしょう」
「……そうですね」
「そんな顔しないで」

 レミュールはセシリーの手をそっと取って引っ張ってくれる。いっそのこと強く(なじ)ってくれた方がこちらの諦めも着くのかも知れないと、セシリーはぐっと唇を嚙み締めた。



 離宮の応接室にセシリーが向かうと、既にジェラルドが来客を迎えるため到着していた。