独学でいくつかの魔法を習得し、自慢げに披露した時の家庭教師の顔は、今も忘れられない。教師はすぐに国王へ、専門の師に付けた後将来特別な教育機関に入れて魔法を学ばせるべきと進言し、俺はしばらくの間、ひとりの宮廷魔術士に定期的に教えを乞うことになった。

 その時指導を受けていたのは俺だけではなく、宮廷魔術師の遠縁にあたるひとりの少女と机を並べていた。明るい性格の彼女は俺のことをすぐに受け入れ、彼女たちと過ごす時間がこの寂しい宮廷生活で唯一の慰めとなってくれた。

 そして十二の頃俺は、魔法という分野において国内一の教育機関である――王国立魔術校の中等部へと進学することになったが……不安はなかった。なぜなら、一年先にその少女が魔術校へ入学していることを聞かされていたからだ。
 
 ラナ・トルシェという名前の少女……それが俺の唯一の友達で、誇るべき先輩の名前だった。

 彼女は相当な努力家で、聖女の血と共に多くの魔力を受け継いだことも相まって、俺よりも一つも二つも先に進んでいる。魔術校では学年がひとつ上の者が下の者の指導役となる伝統が今も受け継がれていて……第二王子という立場で便宜が図られたのか、俺に対しては最もよく知る彼女がそれを果たすことになったのだ。