キースは出迎えるべく扉前まで進みながら一声掛ける。すると、ひたすら恐縮した様子のロージーが、肩を竦めながら消え入りそうな声で室内に、来客を招き入れる。

 すると彼は手を挙げ、気さくに言う。

「やあ! 久しぶり、キース」
「あなたは……!」

 その人物を見たキースは珍しく瞠目し、頭を深く垂れた。

 赤みの強い金髪と同色の目……品よく整った目鼻立ちに浮かぶ表情も明るく、まさしく太陽を擬人化したような、神々しい後光まで背負っていそうな青年がそこにはいる。

 レオリン・エイク・ファーリスデル――それが、この国の王太子である彼の本名だった。

「王太子殿下……このような所に、何故!」
「友のところに顔を見せに行くのに理由が必要かな? ま、それだけではないが」