また湖を渡り、ジェラルドたちの元に戻りながらセシリーは数か月後を思い浮かべようとしたが、できなかった。

 少なくとも全ての決着がその時には着いているだろう……努力はするつもりだが、悔いなく迎えられるかどうかは未来の自分を信じて委ねる他ない。その時にまでに、全ての答えが出せるように、ただただ祈るばかりだ――。



(――セシリー、大丈夫? また考え事?) 

 目の前のリルルがぺろりと頬を舐め、追憶から我に返ったセシリーは首を何度も振った。

(ごめんごめん。よし、お散歩いこう、天気もいいし……)

 セシリーは厩舎の管理人に声を掛けて、王宮の庭園を回って来ることを告げ、外に出た。空を大きく見上げると、徐々に強まる春めいた日差しが、目の奥に突き刺さるように届く。

(セシリー、何があってもボクは一緒に付いて行くからね。あまり心配しないで)

 下を向くとリルルが、元気な顔で見上げている。それを見ると漠然とした不安は一時でも和らげられ、ほっとした気持ちでセシリーは頭を撫でる。